伝統工芸品である「三宝」は古来より神様への供物・献上品をのせたり、一般的には鏡餅や月見団子等をのせたりする神具として日本人の生活に深く浸透しているが、近年のライフスタイルの変化により、その需要は減少を続けている。 年々業界が縮小していく中で、事業継続の為にも生産プロセスの精度・品質向上と効率化は必須であり、新たな主力製品の開発が急務となっていた。 また、伝統的「三宝制作技術」における要となる「挽曲げ工程」は熟練職人の手作業による技が必要だが、職人の高齢化が進み、若手への技術継承も解決すべき課題だった。 そこで生産プロセス刷新を計画。熟練職人の技を数値化・自動化し、工程の短縮、精度・品質・生産効率の向上を狙うと共に、古い加工機では対応が難しかった既存寸法以外のオーダーメイド対応や、新たな製品開発が可能な環境の構築を目指し、本事業を実施した。 本事業においては全自動NC加工機を導入し、挽曲げ専用のチップソーをメーカーと共同開発した。これにより、加工時のロス率を10分の1まで下げる事ができ、全体の加工時間も約20%短縮。加えて、制御性が配慮された近年の機械に更新した事で、刃物を扱う作業員の安全性が大幅に向上した。 また、従来の機械では4〜9寸の6サイズのみしか対応出来なかったが、その制限が無くなり、ミリ単位・多品種小ロット等の試作・オーダーメイド対応・四角形以外の多角形への対応が可能となり、非常に大きな成果を得る事ができた。 生産効率の向上により、まずは三宝の笠(盆)部分を活用し、和食文化と融合した新たな「器」として、市場参入を狙う。事業の背景需要低迷に対する生存戦略事業の成果多種オーダーメイドが対応可能に47〈事業計画名〉 全自動NC加工機の導入による伝統的「三宝技術」継承及び新たな市場への参入平成30年度補正生産プロセスの自動・効率化による伝統的技術の継承と進化吉谷木工所
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