当社が属するメリヤス業界において、最終製品は消費者の価値観やライフスタイルの多様化により、市場が非常に細分化されているが、いわゆる「流行り廃り」のサイクルも細かく切り替わる為、適切な需要予測は必須である。 当社は元々OEM生産を主体として、同業顧客や問屋の指示に沿う製品生産に注力してきた。しかし、海外生産との価格競争は激化する一方であり、国内生産における競争力を確保する為にも、当社の技術的課題である「新商品の企画開発力強化」と、大ロットだけでなく需要予測による多品種・小ロット・短納期にも対応しうる「消費の多様化を見据えた柔軟な供給体制の構築」は必須であると考えられた。 折しも現在の顧客から新商品の共同企画開発と生産ロット数拡大要望の打診があり、顧客要望への対応と、当社の技術的課題を解消する為にも新たなデザイン・生産システムの導入を計画。当社の加工技術の付加価値を高める事を目標として本事業を実施した。 本事業においては、3Dデザインシステムとコンピュータ横編機(ホールガーメント横編機)を導入。 3Dデザインシステムで作成したバーチャルサンプルにより、現物の試作品完成による生産開始までの時間が約4分の1に短縮でき、流行に沿う製品をいち早く市場へ投入する事が可能になった。また、現物のサンプル作成前に製品イメージをビジュアル化する事で、試作制作にかかる原糸の調達・製造・配送コストなどが削減でき、試作品の精度も向上した。 ホールガーメント横編機においては、既存の編機では困難なサイズや立体的な編み上げが可能となり、後工程の短縮による納期短縮と生産量拡大という成果を得ることが出来た。 また、既存編機では困難な立体編み上げにより、新製品開発時に自由度が上がり、今までにない製品の企画を顧客へ提案する事が可能となった。事業の背景需要予測への対応で競争力強化を狙う事業の成果製品企画開発の自由度と生産性向上43〈事業計画名〉 3Dデザインシステムと無縫製横編機の導入による製造プロセスの革新平成29年度補正変化の早い流行への対応力強化と企画提案型事業を目指す生産システム構築脇坂手袋製作所
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