当蔵のある都祁(つげ)地域は県北東部の大和高原に位置し、標高500m前後で冬季は氷点下を下回る日が続く寒暖差の大きい地域である。大和国水分四社(都祁、宇太、吉野、葛城)の1つに数えられる都祁水分神社では速秋津彦神、天水分神、国水分神の「水」を司る三柱が祀られ、清らかな水源を持つ、酒造りに非常に適した地域である。 当蔵は明治4年の創業以来、自社で保有・管理する山から湧出する、ゆっくりと濾過された甘みのあるやわらかな山水を使って酒造りを行ってきた。 古くから、奈良は「日本清酒発祥の地」とされ、「上槽」「火入れ」を始めとする優れた酒造技術や概念が数多く確立され、高品質な日本酒が生まれていた。その酒造技術の1つに「菩提酛(ぼだいもと)造り」という製法がある。 室町時代に近代醸造法に至る基礎技術の確立を担った奈良の菩提山正暦寺にて編み出された、酒造りにおける酛(もと=酒母)の製法であり、「そやし水」と呼ばれる乳酸発酵による酸性水を使う点が特徴。清酒酵母が活動しやすい環境を造る事で、暖かい時期にも安定的な酒造りが可能となり、奈良県を日本酒の一大生産地に至らしめた。清酒製造業■スタンダードラインKURAMOTO SE補助事業で試行錯誤の末に辿り着いた、4MMPが香る新しいスタンダードの提案 山水は酒造りだけではなく、その元となる酒米の栽培にも使用し、「旨い酒造りは米作りから」を指針に、日本酒版ドメーヌとして自家田栽培米を使用した製造にも注力。同じ水源の水は仕込みの相性が抜群であり、地域・環境・水源等に対する感謝を込めた「山は水」という理念を蔵のロゴとしている。 地元の地酒専門店を中心に展開しているが、関西に限らず関東の試飲イベント・日本酒フェアなどにも参加し、最近では海外展開も開始した。当蔵のファン獲得に留まらず、日本酒愛好者の底上げを担う一翼を目指す。 醸造技術の発展により、「菩提酛造り」は長らく途絶えていたが、1999年に蔵元有志が研究会を発足。正暦寺や関係各所の協力の下、近代醸造法と融合させ、500年振りに製法を復活させた。当蔵においては、「定番酒」である通常製法や菩提酛造りの日本酒に加え、「ビットライン」「スタンダードライン」として古来の製法を単純に再現するだけでなく、近代醸造技術をミックスし、伝統製法のメリットを現代的にアレンジした製法や香味の新しい日本酒をニュースタンダードとして提案している。■ビットラインKURAMOTO64夢山水GENERAL自家田で栽培した酒米「夢山水」を使った日本酒版ドメーヌとしての看板酒kuramoto-shuzou@comet.ocn.ne.jp■定番酒つげのひむろ500年振りに復活した伝統製法「菩提酛造り」による酛と、近代醸造法を融合させた濃醇旨口倉本酒造株式会社の概要県内でも希少なドメーヌ蔵として、寒暖差の大きい地の利を活かした酒造り倉本酒造株式会社の製品(抜粋)奈良発祥「菩提酛(ぼだいもと)造り」と近代醸造法のミックス代表者名代表取締役 倉本 隆司所在地奈良県奈良市都祁吐山町2501連絡先TEL:0743-82-0008/FAX:0743-82-1748ホームページhttps://kuramoto-sake.com/E-MAIL40倉本酒造 株式会社業種分類飲料・たばこ・飼料製造業事業内容
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