地震大国である日本において、建築物の耐震性は元々重視されていたが、阪神大震災以降も大型地震による被害が相次ぎ、耐震性重視の傾向は更に強くなる中で、耐震性・耐火性に優れている湿式外壁(モルタル壁)の需要も増加傾向にあった。 同時に「2050年カーボンニュートラル達成」に向けたゼロエネルギー住宅の普及や、東京都においては基本方針として2025年より太陽光発電設置が義務化される等、政策目標により環境保全・維持活動が更に活発になったことで建築物などの熱効率についても研究が進み、壁を2重にして内部に通気層を挟む「通気工法」が評価されるようになった。 「通気工法」は急速に普及し、住宅瑕疵担保履行法の設計施工基準や住宅金融支援機構の住宅ローン・フラット35Sの技術基準となるなど、住宅建築における基準工法として一般化してきていたが、壁を2重にする関係でコストや工期が非常に膨らむ為、モルタル壁内の外板替わりに使えるよう、メタルラスと防水紙を接着して強度を上げる新製品を設計。 製造・量産工程における機器導入の為、本事業を実施した。 通常、メタルラスと防水紙の接着は有機性のボンドを使用するが、製造時の空気環境や乾燥工程に注意する必要があり、また、引火性や有毒物質の排出などの問題があった。当社では不燃性のホットメルトに着目。当社のダイヤラスと防水紙をホットメルトで接着する事で、空気環境・乾燥工程・引火性などの問題をクリアした。また、防水紙の強度向上の為に従来のターポリン紙からモルタル壁用高級下地材の改質アスファルトフェルトへ変更し、外板替わりとなる強度と防水性を確保した。 生産プロセスを自動化する為、本事業においてホットメルト自動塗布機と防水紙裁断機を導入。生産リードタイムとコストダウンに繋がり、より高品質な製品の提供が可能となった。事業の背景基準工法対応製品のコストダウン事業の成果生産性向上による新製品の完成25〈事業計画名〉 業界初のホットメルト接着による通気ラス製造機の開発と生産性向上化計画平成30年度補正業界初ホットメルト接着の新製品で基準工法のコストを軽減し需要拡大を狙う南和ラス工業 株式会社
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