ものづくり補助事業 成果事例集
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 当社は、吉野郡下市町の永田家の山林施業部門を法人化する形で昭和42年に設立された。永田家の歴史は古く、1700年頃から約300年、17代続く不動産経営・山林管理を行っており、その歴史を背景に、技術を磨いてきたのが当社である。 山林維持管理と搬出用作業道開設を事業の2本柱とし、吉野地域において約1,500ha(皇居外苑13個分)の山林を管理している。 2017〜2018年にSGEC(森の循環認証会議)によるFM認証およびCoC認証を取得し、公共事業等で指定される「環境に配慮された木材」という国際認証木材の提供ネットワークの構築と普及に向けた取り組みを行っている。「林業」は何代も続くリレー 世間一般に浸透している「林業」のイメージと言えば、「木を植え、育て、伐採する」であるが、そもそも木の時間軸は100年〜200年と非常に長いもので、他の1次産業とは違って1世代で「植えて育てて伐る」が完結する事はほぼない。 仮に10,000本植林した場合、数世代に亘って間伐を繰り返し100年〜200年かけて最終的に100本の木を選び抜いていく、という事を文化・知識・技術として継承しながら、木に関わり続けていくのが「林業」である。 近年では、一般の消費者が樹齢数十年の木や森、山に触れる機会も減っており、国産の木材の成り立ち等はほぼ知られていない。まずは木や森、山に触れてもらい、それを通じて「林業」を知ってほしい、という思いを込め、ヨガ教室「結風」と協力し、黒滝村の山林にて「森のヨガ教室」を開催している。 また、2021年より黒滝村の道の駅「吉野路黒滝」内に「rin+」という木工製品のショップを開業。自社管理の山から伐ってきた木材を使った製品等を提供している。 他にも作業道開設体験の実施や、就労者向けの中長期的な林業研修計画、食品製造会社の㈱パンドラファームとタッグを組んで「㈱紀伊スタイル」を設立し、紀伊エリアの食と木を新たなスタイルで提供するプロジェクトを企画する等、日々、木を育てながら「林業」のイメージアップに取り組んでいる。山林経営、保育、特殊伐採、素材生産、森林作業道開設、木製品販売代表者名代表取締役 増春 雅孝所在地奈良県吉野郡下市町下市135連絡先TEL:0747-52-2026/FAX:0747-52-2690ホームページhttps://houeiforestry.com/E-MAILho-eida@chorus.ocn.ne.jp豊永林業株式会社の概要木を育て、道をつくり、人に届ける豊永林業株式会社の活動木と山と林業に触れてもらう機会を「林業」業界が抱える課題 当代は間伐の代であり、次に大規模な植林を行うのは山によって差はあるが数十年後。今は植える必要がないように密度を管理しながら、良い木を残して更に育てて次代以降へ繋いでいくために間伐を繰り返している時期であるが、繋いでいく継ぎ手がいない「後継者不足」という問題を抱えている。 奈良県には独自の「山守(やまもり)」制度というものがあり、山林の管理組織として村外に住む山林所有者が、山林の保護管理を委託した事に始まり、山林の保護管理から植栽手入れ、間伐などの管理指揮まで行う。 現在の奈良県における林業の事業者は、山守その人だったり、当社のように各地区の山守を取りまとめて事業展開していたりする事業者が多いが、山守も高齢化が進んでおり引退していく者も後を絶たない。その知識・技術をどのように受け継いでいくか、が当面の課題である。22豊永林業 株式会社業種分類林業事業内容

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