ものづくり補助事業 成果事例集
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 昨今の国内木材産業の市場は縮小が続き、吉野材の主用途である住宅用建材の需要も低迷が続いている。 その中で、当製材所では1994年より建材以外の製品開発に努め、現在は「ひのき精油」「おが粉(おがくず=挽き粉)」を主力製品として展開している。 しかし、どちらも建材生産時に副次的に発生する廃棄物である「おが粉」を原料としていた為、建材生産量に依存する形になり、調達量に制約があった。 そこで生産体制の見直しと合わせて「ひのき精油」の品質を向上させ、精油抽出時に着色してしまう面を改良し、より多角的な販路開拓となる「木材総合ビジネス」化を計画し、本事業の実施を決定した。 事業に先駆けて「おが粉製造機」を導入し、廃材や低価値材を原料とする「おが粉」生産体制を整え、建材生産に依存することなく原料調達が可能となったため、本事業では「ひのき精油」の生産量拡大と品質向上を目標とした。 本事業にあたっては、精油抽出における抽出機を刷新。従来の減圧温熱循環式ではなく、水蒸気蒸留式を導入した。 これにより、従来の方式では釜の素材と精油成分が反応し、ピンクの着色が残ってしまい、工業用原料には不向きな製品となっていたが、水蒸気蒸留式を用いる事で着色を抑え、香りの持続性が高い精油の製造が可能となった。 これにより、従来は香料用として中小ユーザーの限られた販路だったものが、工業用原料として大口のメーカーに対しても対応が可能となり、生産量の拡大に加え販路の開拓が実現。 原料の「おが粉」生産から続く、加工生産プロセスが完成した。事業の背景自社開発品の原料調達と品質改善事業の成果自社完結の加工生産プロセスの完成13〈事業計画名〉 吉野林業の新たな挑戦 おが粉と精油を活用した木材総合ビジネスの展開平成29年度補正建築用途依存からの脱却「ひのき精油」高品質化による販路新開拓喜多製材所

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