IT産業市場や医療機器市場の装置が高機能化するにつれ、その装置を構成する部品に高い付加価値(軽量、高強度、高耐熱性)のある難削材を採用するケースが増加していた。当社においても事業領域の拡大と収益の安定化を図るため、精密加工技術を活かすことができ、なおかつ成長市場である難削材高機能部品市場への進出を考えていた。しかし当社の既存機械では難削材加工時においては、切りくずが刃具に巻き付く事による品質の変動や、加工対象物の硬度が高いため切削速度を落とすことによる生産性の低下、工具への負担増に伴う工具寿命の短縮が課題となっていた。そのため最新の高圧クーラント付き低周波振動切削機械の導入により、品質の安定化と生産性の向上を目指した。■低周波振動切削切削中に“空振り”時間を設けることにより、切りくずを細かく断続的に排出させる特徴を持つ切削技術■クーラント工作機械で使われる「潤滑油」。加工対象物と工具との表面に油の膜をつくり、【潤滑】【冷却】【洗浄】の役目をはたす最新の高圧クーラント付き低周波振動切削機械導入により、スムーズな切りくず排出処理が実現するとともに、刃具寿命の延長が可能となった。そのため切りくずなどの発生により有人での管理をしていた既存の設備に対し、無人での作業が実現。およそ3倍の作業が可能となり、品質の安定化と生産性の向上につながった。また、本事業において難削材の切削加工条件を把握し、細孔・深穴・超薄肉加工技術の開発を実現することにより技術的差別化が可能となった。さらに「難削材への技術が強化されたこと」により、難削材だけではなく難削材を含む一連の発注への対応が可能となることで、新たな市場開発のみならず、技術向上による営業の幅の広がりにもつながった。事業の背景IT産業等の装置の高機能化によりニーズが高まる難削材事業の成果難削材の技術強化による市場開拓と営業幅の拡大29〈事業計画名〉 難削材高機能部品市場への進出による事業領域の拡大平成29年度補正難削材への技術力向上による新たな市場開拓と営業領域の拡大株式会社 電研端子製作所
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